三菱商事従業員組合 | 立ち止まって考える、未来のキャリアとライフ 「ライフキャリアプランニングセミナー」を実施しました

「どうしよう、仕事が楽しくなってきた。」
2025年9月11日と10月23日、三菱商事従業員組合(以下、三菱商事)主催の「ライフキャリアプランニングセミナー」が二部構成(第一部:基礎知識編、第二部:実践編)で行われ、株式会社BeLiebe(以下、BeLiebe)の代表取締役 志賀遥菜、及び産婦人科医・産業医である平野翔大先生が登壇しました。
本セミナーは、セミナーの本質を第二部の実践ワークに置き、第二部で実施するライフキャリアプランニングをより効果的なものにするために必要なデータや数値等の情報を第一部インプットセミナーにて提供する、という形でセミナー全体をデザイン致しました。
例えば、海外駐在を希望する際に、ライフキャリアのプランニングをする上で、妊娠出産のタイミングにまつわる不安が多く生じると思います。妊活に必要な期間や、年齢と不妊、不妊治療と仕事の両立で大変なこと、卵子凍結という選択肢・・・等々これらの情報を専門家から伝えることで、正しい医学知識を元に各個人の理想のライフキャリアプランを作成し、行動に移してもらうことを目指しました。
三菱商事従業員組合様からのコメント

2025年7月に「今を知ることで変わる未来 いま知っておきたい卵子数検査(AMH検査)」を共催させていただいた際、志賀さんがご自身のキャリアとライフのプランニングを実施されたとお伺いし、これこそが弊組の組合員にも必要な作業なのではないか?と思ったことがきっかけとなり、本セミナー開催に至りました。
弊組の組合員の中には長期出張や駐在等の転居を伴うキャリアイベントとライフイベントの間で悩む人もおり、そのようなイベントが発生する前から知っておくべき情報や準備できることが盛り込めるように第一部の基礎知識編の内容についてご相談させていただきました。
第一部 基礎知識編 ~知らない不安から、知ることで選べる未来へ~

9月11日に行われた基礎知識編では、冒頭に挑戦したいキャリアへの思いと「自分はいつまで子どもを産めるのか」という不安の間で揺れた代表 志賀の原体験、そして同じ悩みを抱える女性が多いことに気づいてから、BeLiebe創業に至るまでのストーリーを語り、参加者に自分自身のことを振り返ってもらうきっかけの時間となりました。

続いて登壇したのは、産婦人科医を経て産業医として就労女性の健康について取り組んでおられる平野翔大先生です。「未来をデザインするために知っておきたい、からだのこと」をテーマに、双方向型のコミュニケーションも含めたインプットセミナーが進められました。

年代とともに変わる”妊娠のリアル”
平野先生の講義は、まず参加者の「聞きたいこと、知りたいこと」を共有するところから始まりました。「男性側のタイムリミット」「不妊治療にかかる費用や負担」「どのタイミングで治療に踏み切るべきか」など、なかなか周囲には聞きづらい本音の声が寄せられました。その後、産婦人科医・産業医という専門家の視点から、参加者の関心を“データで”一つひとつひも解いていく形でセミナーが進んでいきました。
最初に示されたのは、日本における平均初婚年齢と出産年齢の推移グラフです。ここ数十年で、結婚・出産のタイミングが大きく後ろ倒しになっている現状や、妊活に必要とされる時間が思っている以上に長いことが、客観的な統計データを用いて説明されました。
さらに、「子どもを何人・どのくらいの確率で持ちたいか」によって、妊活を始めるおおよその推奨年齢が変わるシミュレーション統計データも紹介。あくまで“締め切り”ではなく「ライフプランを考えるための目安」として、数値やグラフをもとに、年齢が妊娠率に与える影響が分かりやすく解説されました。
また、グラフを用いながら、女性だけでなく男性の年齢も妊娠率に影響することや、母体年齢の上昇に伴い、染色体異常の子が生まれるリスクが高まることについても丁寧に説明。「不妊は女性だけの問題ではなく、パートナー双方の年齢や健康状態の影響を受けるもの」というメッセージを、科学的根拠に基づく数字とともに示すことで、参加者一人ひとりが深い理解へと導かれる講義となりました。

不妊治療のステップと、その“現実”
後半では、「具体的にどんな治療が行われているのか」「仕事との両立はどこが大変なのか」といった、現場のリアルにも踏み込んだ話が展開されました。
平野先生はまず、タイミング法・人工授精・体外受精/顕微授精という3つのステップを整理したうえで、それぞれの妊娠率や通院回数、想定される負担をデータで示しながら解説しました。なかでも、「卵子を体の外に取り出す治療(体外受精・顕微授精)」と「体の中に卵子を残したまま行う治療(タイミング法・人工授精)」では、女性の身体的・時間的負担が大きく異なることが、具体的な数値やフロー図を用いて強調されました。
一方で、不妊治療は「魔法の治療」ではありません。年齢による妊娠率の低下を完全に打ち消せるわけではなく、通院回数や待ち時間、急に決まる採卵日程への調整、薬の副作用、妊娠合併症のリスク、経済的負担など、見えにくい現実がいくつもあることも、厚生労働省などのデータをベースに共有されました。
そのうえで、卵巣内に残る卵子数の目安を推定するAMH検査の役割や、睡眠不足・喫煙・生活習慣病など、男性のライフスタイルが精子の質に影響する点についても言及。「不妊治療はどうしても女性に負担が偏りがちだからこそ、男性にも今日からできることがたくさんある」と、エビデンスに基づく“行動のヒント”としてメッセージが投げかけられ、男性参加者にとっても理解を深める機会となりました。
平野先生は最後に、AMH検査などの医療的情報は“未来を決める答え”ではなく、あくまで「自分の人生を考えるための材料」にすぎないと強調しました。 妊娠・出産に関わる体の特性だけではなく、キャリアの節目、家族の状況——これらを重ね合わせてこそ、初めて納得のいく選択が描けると締め括り、本講義を経て、第二部、具体的にライフやキャリアをプランニングするワークショップ実践編へと繋ぎました。
第二部 実践編(ライフキャリアプランニング ワークショップ)~これからの人生を“自分で選ぶ”ために~
第一部でからだと妊娠に関する基礎知識を学んだ参加者が、その学びを“自分ごと”として落とし込む場となったのが、10月23日に開催された第二部「実践編」ワークショップです。

特に三菱商事では、出産適齢期と海外駐在の時期が重なりやすく、「いつ海外キャリアに挑戦するか」「出産をどう考えるか」で悩む社員が少なくありません。だからこそこの回では、キャリアとライフを単体で考えるのではなく、「からだの特性」という現実を軸に、人生の選択肢をどうデザインするか に真正面から向き合いました。
頭の中の“もやもや”を、ライフシミュレーションシートの上で可視化する時間
ワークの中心となったのは、BeLiebeが独自に開発した「ライフキャリアプランシート」。
参加者には複数の男性の参加も見られました。年齢軸に沿って、結婚、妊娠、出産、キャリアの節目、さらに海外駐在の希望時期などを一つずつ書き込むことで、これまで“なんとなく”描いていた未来が、具体的なシミュレーションとして浮かび上がります。
参加者は、第一部の学びを振り返りながら、
- どんな価値観を大切にしたいか
- どのタイミングでどんなキャリアに挑戦したいか
- パートナーとどんな話をしておくべきか
- 自分のからだの特性を踏まえると、どんな選択肢が現実的か
など、人生の各要素となるからだ・キャリア設計・ライフ設計を“横並び”で整理していきました。
対話を通じて深まる理解──“リアルな悩み”を共有する時間

このワークショップでは、参加者からの質疑応答も活発に寄せられました。妊娠の時期や治療の進め方、AMH検査の捉え方、卵子凍結の判断軸、さらにはパートナーとの対話の仕方まで、日常ではなかなか相談しづらいテーマが次々に挙がりました。
平野先生は、それぞれの質問に対し、医学的エビデンスと現場経験を踏まえて丁寧に回答。「一人目と二人目の出産の間はどのくらい開けたらいいか?」「AMHが低いと卵子凍結した方がいい?」などの“知りたい現実”に、科学的根拠とともに応えることで、参加者の理解が一段と深まりました。
また、「パートナーとどう話を切り出すか」という相談には、志賀がユーザー事例を交え、検査結果やワークシートを使って自然に話題を開くアプローチを紹介し、参加者がそれぞれの対話のヒントを持ち帰る時間となりました。
こうした双方向の対話を通じて、参加者は“自分ごと”として未来を描く解像度をさらに高める時間となりました。
見えていなかった“時間”が、未来の選択肢を照らし出す
参加後のアンケートでは、「思っていた以上に時間が限られていると実感した」などといった“時間”に関する気づきが多く寄せられました。
また、第一部・第二部を通し「しっかりと時間を確保し、ライフプランを描くことで、(未来を見据えた今のことなど)目をそらしがちな現実を見ることができた。」といった声も寄せられ、キャリアとライフを同じテーブルで並べ、一度立ち止まって”これから”に向き合うことの大切さを再認識する時間となり、実際に行動に移すことのできる機会となりました。
三菱商事従業員組合様からのコメント
第一部・第二部通して、医学的エビデンスや数字も交えた非常に説得力のあるご説明をいただきました。転居を伴うキャリアイベントや、そのようなイベントとライフイベントが同じような時期に発生することもあるという総合商社で働く者が抱える課題認識を捉えてカスタマイズしてくださったおかげで、参加した組合員からは大変有意義だったとのコメントをいただきました。
今はまだ入社したばかりだから、パートナーがいないから、と後回しにするのではなく、一人ひとりが自分ごととして今回のテーマについて考える機会を提供出来たと思います。
もちろん、キャリアもライフも、必ずしもプランニング通りに進むということはありませんが、キャリアやライフに関する決断をする時に立ち返ることができる指針にあたるものを参加者は持ち帰ることができたのではないかと思います。
この度はありがとうございました。
今回のセミナーで生まれた気づきや対話は、未来を形づくる確かな一歩です。
BeLiebeは、「女性が安心して、挑戦できる世界をつくる。」をミッションに、これからも“知ること”と“考える機会”を届けていきます。
からだの特性を理解し、人生の選択肢を自らつくり出せるように——。
- 株式会社BeLiebe(ビーリーブ)
- Email:contact@beliebe.net
